【2025年版】フィリピン不動産購入&賃貸ガイド|マニラ首都圏の相場・手順・注意点
この記事でわかること
- マニラNCRの不動産相場概況
- 賃貸:相場・契約手順・注意点
- 購入:制限・手続き・諸費用
- 購入 vs 賃貸のコスト比較シミュレーション
- 物件選びのポイントとよくあるQ&A
Contents
0. はじめに
まずは主要5エリア(BGC、Makati、Ortigas、Alabang、Manila City)の1BR(50〜60㎡)相場を確認しましょう。※1USD=約55PHP(2025年6月現在)。2BR以上は㎡単価が下がるものの総額は増加します。
マニラ首都圏(National Capital Region: NCR)ではエリアごとに価格も手続きも異なり、外国人向けの情報は断片的になりがちです。この記事では、2025年最新データと筆者の実体験をもとに、賃貸・購入それぞれの相場と流れ、コスト比較、物件選びのポイントまでをわかりやすく解説します。マニラ駐在や移住を検討中の方、セカンドハウス購入を考えている方はぜひご参考ください。
まずは主要5エリア(BGC、Makati、Ortigas、Alabang、Manila City)の1BR(50〜60㎡)相場を確認しましょう。
エリア購入価格(USD/㎡)賃貸家賃(USD/月・1BR) |
---|
BGC4,000–5,5001,300–1,800 |
Makati3,500–5,0001,200–1,700 |
Ortigas2,800–4,000900–1,400 |
Alabang2,200–3,500700–1,200 |
Manila City2,000–3,200600–1,000 |
※1USD=約55PHP(2025年6月現在)。2BR以上は㎡単価が下がるものの総額は増加します。
2. 賃貸ガイド:相場・契約手順・注意点
2-1. 賃貸相場
エリア | 月額(PHP・1BR) | 月額(USD) |
---|---|---|
BGC | 70,000–90,000 | 1,270–1,630 |
Makati | 60,000–80,000 | 1,090–1,450 |
Ortigas | 50,000–70,000 | 909–1,270 |
Alabang | 40,000–60,000 | 727–1,090 |
家具付きは+PHP5,000–10,000程度。共益費(HOA)は家賃込みが多く、電気・水道・インターネットはテナント負担です。
2-2. 賃貸契約の流れ
- ① 内覧・物件選定
仲介会社またはオーナーとコンタクトし、複数ユニットを内覧して条件に合う部屋を決定。 - ② Reservation Agreement(予約契約)
予約金(PHP5,000–10,000)を支払い、正式契約の意思を示す。(期間は15–30日程度) - ③ Lease Agreement(賃貸契約)
- 契約期間:通常1年、短期(6ヶ月)交渉可
- 初期費用:先月+翌月家賃2ヶ月分+仲介手数料1ヶ月分
- PDC(12枚)提出:毎月自動引き落とし
- Utilities:電気・水道・通信はテナント負担 - ④ 入居時チェック
Unit Condition Formに基づき壁・床・家具・設備の損傷を記録し、オーナーとサイン。HOA登録でガードゲートID取得。 - ⑤ 退去時の精算
原状回復範囲(通常使用範囲と損傷の区別)を契約書に明記。未払いUtilitiesや破損はデポジットから差引。
2-3. 賃貸時の注意点
- PDCのバウンス
残高不足で家賃不払扱いとなり、ペナルティ発生。常に口座残高を確保するか保証人を立てる。 - 仲介手数料負担先
オーナー指定の仲介会社がある場合、借主負担となるケースが多い。事前に確認を。 - Utilities未払い
電気・水道代の未払いは退去時にデポジットから差引。インターネット停止リスクあり。 - 契約書の言語
契約書は英語が基本。重要事項は日本語でメモを取り、原文と照合してからサインする。 - 原状回復費用
小さな釘穴や壁の汚れまでテナント負担となる場合があるため、Normal Wear and Tear(通常損耗)の範囲を明確にしておく。
3. 購入ガイド:制限・手順・諸費用
3-1. 外国人の購入制限
- 土地所有不可
フィリピン憲法第12条により、土地所有権はフィリピン人または80%以上フィリピン人資本の法人のみ。
外国人はコンドミニアムの区分所有のみ取得可(建物全体の外国人所有割合は40%以下)。 - ビザ条件
駐在ビザ(9G)もしくはリタイアメントビザ(SRRV)など、居住を証明できるビザが必要。
一時滞在(観光)ビザは適用外。 - CCR確認
デベロッパーがHLURBへ登録した「Certificate of Condominium Registration」を必ず確認。
適法に登録されたプロジェクトであることが前提。 - タイトルチェック
弁護士を通じて土地信託権(TCT)と区分所有権(CCT)の抵当権や差押えがないかをチェック。
3-2. 購入手続きの流れ
- ① 物件選定・LOI提出
仲介会社と契約し、複数ユニットを内覧。
希望条件(エリア・面積・価格)を明確にして「Letter of Intent(LOI)」を提出、予約金(PHP10,000–20,000)を支払う。 - ② Reservation Agreement(予約契約)
デベロッパーまたは売主と予約契約を締結し、頭金(20–30%)の支払いプランを確定。 - ③ Contract to Sell / Deed of Absolute Sale
- 頭金支払い後、残額を銀行ローン(現地 or 海外)または一括で決済
- 「Certificate of No Lien(抵当権なし証明)」を取得し、弁護士が契約書類を準備 - ④ 登記・タイトル移転
- 弁護士がRegistry of Deedsへ行き、区分所有権(CCT)を購入者名義へ移転
- 購入価格の約8~8.5%(譲渡税6%+スタンプ税1.5%+登録料0.5%)を精算 - ⑤ ユーティリティ契約・引き渡し
- 電気(Meralco)・水道(Maynilad/Manila Water)・インターネットを自分名義に切替
- HOA登録でガードゲートIDを取得し、最終検査で不具合があれば補修依頼
年度 | 購入累計(PHP) | 賃貸累計(PHP) |
---|---|---|
1年目 | 3,484,000 | 1,080,000 |
2~10年目(各) | 2,484,000 | 1,080,000 |
10年目まで合計 | PHP 25,840,000 | PHP 10,800,000 |
ローン完済後は購入コストが一気に減少するため、
5~7年目以降に“購入のメリット”が賃貸を上回るケースが多いです。
3-3. 購入時の諸費用(目安)
総額で購入価格の約10~12%が追加で必要になります。
費用項目 | 割合/金額 | 備考 |
---|---|---|
Reservation Fee | PHP 10,000–20,000 | 予約時に支払う |
Down Payment | 購入価格の20–30% | 契約締結時に支払う |
譲渡税 (Capital Gains) | 購入価格の6% | 売主負担の場合あり |
ドキュメント・スタンプ税 | 購入価格の1.5% | 契約書にかかる税金 |
移転登録料 | 購入価格の0.5% | Registry of Deedsでの登録手数料 |
政府税金合計 | 約8–8.5% | 譲渡税+スタンプ税+登録料 |
リーガル・弁護士費用 | PHP 50,000–100,000 | 契約書作成・登記申請等の法務手数料 |
仲介手数料 | 売買価格の3% | 売主・買主または折半 |
4. 購入 vs 賃貸コスト比較
前提条件
- 物件価格:USD 200,000(約PHP 11,000,000)
- 頭金:20%(PHP 2,200,000)
- ローン金利:7%/年、返済期間15年
- 家賃相当:PHP 80,000/月(BGCの1BR想定)
- 購入諸費用:物件価格の10%(PHP 1,100,000)
初年度は購入がPHP 3,484,000、賃貸がPHP 1,080,000。
2年目以降は購入がPHP 2,484,000(ローン+HOA+光熱)、賃貸がPHP 1,080,000だけかかります。
10年間累計比較
年度 | 購入累計(PHP) | 賃貸累計(PHP) |
---|---|---|
1年目 | 3,484,000 | 1,080,000 |
2~10年目(各) | 2,484,000 | 1,080,000 |
10年目まで合計 | PHP 25,840,000 | PHP 10,800,000 |
ローン完済後は購入コストが一気に減少するため、
5~7年目以降に“購入のメリット”が賃貸を上回るケースが多いです。
5. 物件選びのポイント
- 交通アクセス
- MRT/MRT-7/LRT最寄り距離とタクシー所要時間
- EDSA/Highway経由の渋滞リスクをシミュレーション - 周辺インフラ
- 大手スーパー(SM、Robinsons、Rustan’s)の距離
- 病院(Makati Med、St. Luke’s、Medical City)までのアクセス
- 商業施設やレストランの充実度 - 治安・安全性
- 24時間ガードゲート/CCTV設置状況
- 洪水ハザードマップ(マカティ低地、パサイ沿岸部)の確認 - 将来の資産価値
- MRT-7やMNL地下鉄などのインフラ整備計画
- 新規開発プロジェクト(Arca South、Eastwood Cityなど)の動向
- 賃料利回り(年5~7%が目安)をチェック - 居住環境
- コンドミニアムの設備(プール、ジム、ラウンジ)
- ペット可否・騒音問題
- HOA管理の評判(管理水準や対応スピード)
6. よくあるQ&A
- Q1: 外国人が土地購入できますか?
A: できません。土地所有権はフィリピン人または80%以上フィリピン人資本の法人のみ。
外国人はコンドミニアム区分所有のみ取得可能です。 - Q2: 賃貸でPDC以外の保証方法はありますか?
A: 銀行保証(Bank Guarantee)や前払い家賃(半年〜1年分)を受け入れるオーナーもいますが、
PDCが一般的かつ手続きが簡便です。 - Q3: 購入後すぐに転売できますか?
A: 多くのデベロッパー物件には最初の2年間は転売禁止(ロックイン)規定があります。
契約前に必ず確認しましょう。 - Q4: 銀行ローンが組めない場合はどうすれば?
A: フィリピン在住歴1年以上かつ給与振込が現地銀行口座にもなされていれば、
現地銀行ローンを組みやすくなります。日本の銀行からの海外ローンは利率が高めです。 - Q5: 新築と中古、どちらを選ぶべき?
A: 新築は値引き幅が小さく安心感がある一方、価格面では中古の方が割安になることがあります。
リフォームコストやリスクも考慮し、総合的に判断してください。
7. まとめ
マニラNCRでの不動産選びは、賃貸と購入でコスト構造も手続きも根本的に異なります。
ライフスタイルや滞在期間、投資目的に合わせて最適な選択をしましょう。
- 長期(7年以上)で住む・資産形成を目的とするなら購入が有利。
ローン完済後は家賃負担ゼロになり、将来の売却益も期待できる。 - 短期(~5年)の滞在や赴任期間が未定の場合は賃貸を選ぶべき。
初期費用を抑え、引越しの自由度も高い。 - 物件選びでは交通アクセス・周辺インフラ・治安・将来インフラ計画を必ず確認。
特にMRT-7や地下鉄計画は資産価値に直結します。
この記事が皆さまの判断材料となり、快適なフィリピン生活を実現する一助となれば幸いです。
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